1枚の写真から始める住宅会社のストーリーブランディング
ブランドとは、企業が語るものではなく、お客様の心の中に“積もっていく印象”のこと。その入口となるのが、一枚の写真です。住宅会社の広報や営業の場面で使われる写真は、ただの「実例紹介」や「雰囲気カット」に留まりがちですが、視点を少し変えるだけで、企業の思想や価値観を語る“物語の扉”へと変わります。
ポイントは、その写真が「何を伝えたい写真なのか」を決めることです。広さやおしゃれさではなく、「どんな暮らしを叶えたい会社なのか」。例えば、家族が自然と集まるリビングを大切にしている会社なら、ただ広い空間ではなく、光の入り方や家具の距離感、暮らしの余白まで含めて伝わる写真を選びたいところです。そこに数行の言葉を添えれば、その一枚は「価値観のメッセージ」へと変わります。
もう一つ大切なのが、「写真を点で終わらせない」こと。1枚の写真に込めたテーマを、別の現場や別の住まいでも繰り返し重ねていくことで、その会社らしさが“連続した物語”として見えてきます。単なる投稿の積み重ねが、やがてブランドの世界観を形づくっていくのです。
そして、写真の中に“人の気配”を感じさせることも重要です。写っていなくても構いません。「ここで誰が、どんな時間を過ごすのか」を想像できる写真は、お客様自身の物語を重ねる余地をつくります。スペックではなく、「ここで暮らしたい」という感情の入口をひらく力が生まれます。
ストーリーブランディングは難しいことではありません。特別な演出やコピーを用意しなくても、一枚の写真を“ブランドを語る主役”として扱うだけで、企業の姿勢は伝わります。写真が増えるほど散らばるのではなく、写真が増えるほど“同じ想いが積み重なっていく”状態を目指すこと。それが、住宅会社の記憶に残るブランドづくりの第一歩です。





