設計士のこだわりを“見える化”する写真ディレクション術
住宅の魅力を伝える写真は、単に空間を写すだけでは不十分です。特に設計士のこだわりポイントは、細部に宿ることが多く、意図的に“見える化”しなければお客様に伝わりません。そこで重要になるのが、撮影前の写真ディレクションです。
まずは設計士と綿密に打ち合わせを行い、家の中で特にこだわったポイントをリスト化します。例えば、カウンターの素材、収納の動線、窓の位置や光の入り方、階段の手すりや壁の質感など。これらは、間取り図やプランだけでは伝わりにくいため、写真で具体的に表現する必要があります。
撮影では、広角で全体像を見せつつ、こだわりの部分はクローズアップで撮影するのがポイントです。例えば無垢材の手触りやモールテックスの質感は、近くから光と影を活かして撮ることで質感や温かみを視覚的に伝えられます。さらに、家具や小物をさりげなく配置することで、実際の暮らしに溶け込むイメージを補完できます。
光の演出も欠かせません。窓からの自然光や間接照明を意識して撮影すると、素材や空間のディテールが際立ち、設計士の意図がより明確に伝わります。また、写真の構図やアングルで視線を誘導し、見てほしいポイントに目がいくようにすることも効果的です。
さらに、編集段階でもこだわりの“見える化”は重要です。明るさやコントラストを調整して素材感を強調し、必要に応じてキャプションや矢印で補足することで、設計士の意図が直感的に伝わる写真になります。
設計士のこだわりを写真で表現することは、ただ美しい写真を撮るだけでなく、お客様に「この家の価値」を理解してもらう大切な手段です。撮影前のディレクションから構図、光、小物の配置、編集まで一貫して意識することで、設計士の思いがしっかり伝わる写真に仕上げることができます。
